ウイルスを通して見える人々の動き

毎朝、WHOの状況報告を見ていると、ウイルスを通して、世界の文化や人々の動きが見えてきます。

武漢で感染が急速に拡大したのは、春節を控えた忘年会シーズンでした。

中国の会社の忘年会は、全社員を会社持ちで集める大宴会です。地方政府主催の大宴会もあります。社会の各層で毎日のように宴会を開きます。私もほぼ千人規模の大忘年会を中国で開いたことがあります。そこでは、社員の一人ひとりと乾杯を酌み交わすのです。温州商人が代表するような中国全土を股にかけて商売をする人々が、これらの宴会を通してウイルスを中国全土に運んだことも、容易に想像できます。

韓国やイランの状況を見ていると、宗教活動はウイルスに好都合なことが分かります。

ビジネスの面から見ると、自社製品を made in Italy とするためにイタリアに渡った中国企業はたくさんあります。イタリアに次いで感染者が増えているドイツは、習近平の一帯一路の終着点です。

また、最近カリブ海に飛び火しているのは、世界中のリゾート地を年中移動している富裕層の動きのように思えます。この時期、リゾート地は危ないのでしょう。

日本はどうなるのか?

日本では、宴会シーズンはもう終わっています。一対一で乾杯する習慣もありません。ほぼ唯一の宗教行事といえる初詣は、今年はもう終わってしまいました。日本人は欧米人と違って、握手もハグもキスもめったにやりません。中国の通勤列車は、人々の会話や電話で騒々しいのですが、日本では話し声がほとんどしません。お互いに迷惑をかけないことを旨とする日本文化は、ウイルスにとっては想定外なのかも知れません。

リゾート地である北海道や一部のライブハウスが、今、ウイルスの話題をさらっていますが、次の感染の中心地はどこになるのでしょうね。