リーダーシップと人類学

「リーダーシップに必要なのは、少しばかり、人類学者のように考えてみることだ。人類学者は、未知の世界へ舞い降りる。そして、その世界についてじっくり学んでから、何をすべきか、何をしてもいいか誰と何をし誰に協力してもらうかを決める。(ロナルド・ハイフェッツ教授のリーダーシップ白熱教室 第5回、NHK)」

学生時代の2年間をフランスで過ごして何が変わったかと言うと、日本とフランスの二つの視点をいつも切り替えながら周りを見るようになったことだと思う。

中国に駐在しても、「ここは日本と共通かもしれない」「ここはむしろフランスに近い考えかもしれない」「ここは中国に特有なところであり、自分の価値観を修正するべきところかもしれない」と言うふうに、周囲を眺め、その背景にある価値観が何かを常に考えている。

これは人類学者の行動様式なのかもしれない。

多様性の尊重は、単なる寛容さではない。「あなたはあなたの好きなようにすればよい。私も私の好きなようにする」だけでは限界があり、解決しない問題は多い。いつか決定的にぶつかるかもしれない。

多様性を尊重すると言う姿勢は、人類学者のようにその世界をじっくり学ぶことから始める必要がある。

多様性の尊重

最近、テレビをリアルタイムで見ることはほとんどなくなった。HDDレコーダーにとっておいたものやNHKオンデマンドなどを見ている。これだと、好きな時に見られるし、大事なところは繰り返し見られる。

多様性の尊重については、「緒方貞子 戦争が終わらない この世界で」 で緒方さんが最後に語っていた言葉「大事なのは多様性の尊重」が忘れられない。

また、ハーバード ケネディスクールのロナルド・ハイフェッツ教授のリーダーシップ白熱教室でも、リーダーシップの重要な一要素として熱く語られている。この講座は、リーダーシップとは何かを、生物の進化になぞらえながら極めて明快に語ってくれる。つまり、生物は多様性なしに進化はあり得ず、社会でもこの多様性をいかして進化させるのがリーダーシップだと。

もはや、テレビを見ているのではなく、大学院の授業を受けている感覚になる。